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基本だけれど見落としがちな「主語」と「述語」
ライターの皆さんは、主語と述語に意識して文章を書いていますか?あまりにも基本的なことだからと、スルーしがちな要素の1つです。
1文の中に主語と述語があるというのは、基本中の基本。そのルールを、今ここでもう1度見直してみましょう。ミスをしがちな点を、例をあげて解説します。
ご自身が過去に書いた記事などが手元にあれば、そちらと見比べながら読んでみてください。
主語と述語の関係性を基礎から学ぼう!
さっそく本題に入りたいところですが、その前に5分だけ復習をしておきましょう。主語と述語の関係性について、再確認だと思ってお付き合いください。
“主語と述語はニコイチ”が基本中の基本
まず、主語と述語は2つで1つ、いわばニコイチです。両者が共存してこそ、1つの文が成り立ちます。
ライターは仕事です。
この文書の主語は「ライターは」であり、述語は「仕事です」となります。
このように、一文の中に主語と述語があること。これが基本のルールです。
前文からの流れで主語は省略できる
前項で主語と述語はニコイチと説明しましたが、必ずしも一文の中に主語と述語を共存させる必要はありません。前文からの流れで、主語を省略できる場合もあります。
例えば、今まさに書いているこの記事の、1文目と2文目を例にあげてみましょう。
① ライターの皆さんは、主語と述語に意識して文章を書いていますか?
② あまりにも基本的なことだからと、スルーしがちな要素の1つです。
②の文章には「1つです」という述語があるのに対し、主語がありません。しかし、前文である①の文で「主語と述語」と述べているため、これが2文目の主語になっていることが予測できます。
つまり、2文目の主語は「主語と述語は」で、述語は「(要素の)1つです」となりますが、前文との絡みで主語が省略されています。このように、前文で述べている事項に関しては、主語を省くことも可能です。
ただし、省略が可能な場合ではないのに、意図せず省略してしまっている場合があります。次の項で例をあげて解説します。
修飾語や接続語が“迷子現象”を生む
ライターは文章を書く仕事ですが、まれに混在します。
この文章の主語と述語を、あなたは正しく回答することができるでしょうか?
接続語「ですが」で文と文が繋がっている、この一文。接続語より前の文節で考えると、主語は「ライターは」で、述語は「仕事です」となります。
そして、接続語の後に続く文節では主語がなく、あるのは「混在します」という述語のみです。それでは「混在します」の主語は、はたして何なのでしょうか。
この場合、「混在します」の主語が接続語の前にある「ライターは」であれば、主語を省略しても何ら問題はありません。しかし、「混在します」の主語は残念ながら「ライターは」ではないのです。
この文章の書き手が読み手に伝えたかったことは、以下の文章です。
ライターは文章を書く仕事ですが、まれに他の分野の作業が混在します。
接続語の前において、主語は「ライターは」で、述語は「仕事です」です。そして、接続語の後においては、主語が「(他の分野の)作業が」で、述語は「混在します」なのです。
このように、接続語で2つの文を繋いだことにより、一方の文節において主語が迷子になってしまうことがあります。私はこれを迷子現象と呼んでいます。
この迷子現象は、初心者ライターだけでなく中堅やベテランの書き手にも見受けられます。修飾語や接続語を用いて文章が長くなった時こそ、注意が必要です。
よくある!主語と述語の“迷子現象”ミス3選
主語と述語に関連するミスを、例をあげて紹介します。無意識のうちにやってしまいがちなミスばかりなので、初心にかえってチェックしてみてください。
1.主語がない
例文:鈴木くんから提出されるべき課題が、まだ私の手元に届いていない。確認したところ、懸念していたようだ。
2文目に主語がなく、相手に伝わりにくい文章になっています。誰が確認して、どう懸念していたのでしょう。これでは、書き手が伝えたかったことを推測するしかありませんね。
鈴木くんから提出されるべき課題が、まだ私の手元に届いていない。担任の山田先生に確認したところ、山田先生も懸念していたようだ。
鈴木くんから提出されるべき課題が、まだ私の手元に届いていない。山田先生が鈴木くんに確認したところ、鈴木くんは提出期限を過ぎたことを懸念していたようだ。
鈴木くんから提出されるべき課題が、まだ私の手元に届いていない。鈴木くんの親御さんに確認したところ、提出物の期限が過ぎてしまったことを鈴木くん本人も懸念していたようだ。
以上のように、省略された主語が明らかになることによって、文章の中身がこんなにも変わってきます。主語がないと書き手の意図が伝わらない場合も多いので、気をつけていきたいですね。
2.主語が変わる
例文:先週、夫と一緒に有名バイオリニストの演奏会に行った。演奏を聴くのは久々で不安だったが、素晴らしい音色で感動させてくれた。
この文章における主語を考えてみましょう。
1文目
演奏会に行ったのは:私
2文目
演奏を聴いたのは:私
不安だったのは:私
感動させてくれたのは:バイオリニストorバイオリンの音色
1文目「演奏会に行った」
2文目「演奏を聴く」
これら2つの述語に対する主語は、両方とも「文章の書き手」で一致しているので、特に問題はありません。
ただし、2文目の接続語「だったが」をまたぎ、「感動させてくれた」という述語に対する主語は、「文章の書き手」ではなくなっています。「感動させてくれた」の主語はバイオリニスト、もしくはバイオリンの音色です。
このように文の途中で主語が変わってしまうと、その文章は読者に稚拙な印象を与えてしまいます。ありがちなミスなので、気をつけましょう。模範解答は以下のとおりです。
模範解答:先週、夫と一緒に有名バイオリニストの演奏会に行った。演奏を聴くのは久々で不安だったが、バイオリニストによる素晴らしい音色に感動させられた。
主語と述語がセットになっているか、前文からの流れも考えつつ、正しい使い方ができるようになるとGoodですね!
3.主語と述語がねじれる
例文:今週のスケジュールは、月曜に下調べ、火曜と水曜に執筆、木曜と金曜は休暇で、土日は新規の仕事をリサーチします。
上の文章においては、どこが修正すべき箇所かわかりますか?一見、変な部分はないように思えます。しかし、主語と述語をそれぞれ考えてみると、ちょっとした違和感に気付くことでしょう。
主語:スケジュールは
述語:リサーチします
スケジュールはリサーチします。言わずもがな、この文章は日本語としてNGですよね。模範解答は以下のとおりです。
模範解答:今週のスケジュールは、月曜に下調べ、火曜と水曜に執筆、木曜と金曜は休暇で、土日は新規の仕事探しです。
模範解答の文章において、主語と述語は以下のとおりです。
主語:スケジュールは
述語:下調べです、執筆です、休暇です、仕事探しです
「スケジュールは」という1つの主語が、4つの述語にかかっています。間違った例文のように、書き手が句読点を用いて長い文章を書いた際、主語と述語のねじれが生じやすいです。意識して改善していきましょう。
基本に立ち返って美しい文章を書こう!
ライティングに慣れてきた人こそ、基本に立ち返る時間を持つのは大事なことです。主語と述語における基本ルールについて皆さんが考える時間を持っていただけたのであれば、私はとても嬉しいです。
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