西洋の建築―空間の意味と歴史 クリスチャン・ノルヴェルグ=シュルツ 前川道郎訳 を読んで

西洋の建築―空間の意味と歴史 クリスチャン・ノルヴェルグ=シュルツ 前川道郎訳 を読んで

ロマネスクとゴシックの建築が意味すること

私はこの本を読んで疑問に思ったロマネスクとゴシックの違いについて詳しく分析し、それらが人々にどのような影響与え、空間を作り出したかを説明したいと思います。

まず、先述にもあるとおり、ロマネスクの特徴として厚い壁と半円アーチです。厚い壁というは石造の厚い壁の建築であり、壁が厚くなるのは石造のヴォールト天井をかけたからで、それにヴォールトの推力に抗するためです。

天井は当初は木造のトラスト小部屋組であり,一部の地域ではロマネスク期を通じて木造のままであった。また,古代ローマの影響が強く残る南フランスドーム天井がしばしば用いられている。しかし,おおむね11世紀末から各地に石造のヴォールト天井が普及していき、それに応じて厚い壁の建築ができあがっていくことになる。(西洋建築史 吉田鋼市 森北出版株式会社 2007年7月10日発行30ページ16行目から39ページ1行目)

次に半円アーチが多用されていることが上げられます。シュパイヤー大聖堂(図1)を見ても分かりますが、半円アーチが並んでいます。また、写真はありませんが、このような半円アーチの大きいものや、半円アーチ形が上下に重ねるようにして組まれているものもあります。

これらの特徴が創り出した空間には初期のキリスト教建築の霊的空間を見ることができます。シュパイヤー大聖堂の図を見ても分かる通り、論理的な枠組みの構造が発達していて、美しいロマネスク空間を創り出しています。しかし、神聖な場所であるため、誰でも気軽に入れるような開放的空間ではなく、閉鎖的ともとれるような空間です。それは初期のキリスト教と人々の生活空間とを断絶した特別な空間演出の故であると私は考えています。

一方、ゴシック建築は尖りアーチ、リブ・ヴォールトとフライング・バットレス、ステンドグラスである。ただ、ロマネスク期でも尖頭アーチは多用されていました。パリ大聖堂(図2)は特にゴシック建築の視覚的イメージを見ることができます。開放的ともいえる空間は背の高いヴォールトがそれを担っています。

また、荷重を支持する斜めリブと尖頭アーチの導入によって、中間のウエブをいっそう薄くすることができるようになった。リブはまた、ロマネスクの交差ヴォールト・システムの幾何学の結果として生じるある種の不規則性をも排除した。(西洋の建築―空間の意味と歴史 クリスチャン・ノルヴェルグ=シュルツ 前川道郎訳 株式会社本の友社 1998年7月25日101ページ8行目から14行目)

尖頭アーチは尖りを鋭くしたり、鈍くしたりすることができ、その建築に合うような変形が可能でした。ゴシックの空間は尖頭アーチだけでなく、斜めリブの活躍を見ることができます。それはゴシックの空間を分割し、全体的なイメージを統合させているとう役割を持っています。

このような空間演出は政治と文化中心地として栄えた結果として、建設活動が活発化したことが要因になっていると私は考えています。キリスト教の拡大が、ここに神が存在しているかのような空間を創造したともとれると思います。

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