ベンチャー起業のライターでしたが、給料を払いたくないと言われ退職しました

ベンチャー起業のライターでしたが、給料を払いたくないと言われ退職しました

「会社自体は昨年よりも売り上げは上がっている。君の給料は下げたいけど、それは悪いから今回はそのままにしている。本当は賞与も払いたくないけど、他の人には渡しているから5万だけ渡す。そう『社長』が言っていた」

決算のタイミングでこの言葉を『副社長』から聞いたとき、ああ、もうダメだなと思いました。

私は以前、あるベンチャー起業でライター、そしてオウンドメディアの編集をしていました。
そして、約1年前に退職しました。

これは失敗談ですし、「それ、入社する前に気付くだろ?」というのもあります。
ただ、もしかしたら「今いる会社を辞めたい」と思う人もいるかもしれないので、BADルートの一例として書きます。

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「そこそこ大手」からベンチャーに転職

私がベンチャー企業に転職したのは、数年前。
YouTuberが「好きなことで、生きていく」とアピールし、有名ブロガーが「大企業で消耗してるの?」と発信していた頃です。

それまでは、そこそこ大手の企業で働いていました。

特に業務内容や待遇に不満があったわけではありません。

たまたまnoteみたいな場所に書いたエントリがまぐれでヒットし、調子に乗った私は、文章でお金を稼ぎたいと考えるようになったのです。

ただ、結婚して子どももいますし、自分の名義で建てた家のローンも抱えています。

そんなとき、Facebookでつながっていた知人のシェア経由で、とあるベンチャーの社長が新たに正社員を募集していることを知りました。

そこには以下の業務内容が提示されていました。
・オウンドメディアの立ち上げと記事作成、編集
・SNS企業アカウントの活用
・社長が講演会等で使用するプレゼン資料の作成

そのベンチャーの事業内容もとても魅力的で「このベンチャーの情報を、自分の文章で発信したい!」と心から思えるものでした。

私は履歴書の代わりに、自分の文章やプレゼン資料のサンプルを持参して面接に臨みました。
さらに未経験の分野だったにもかかわらず、「この年収以下では転職できない」と、ダメ元で自分の年収を提示しました。
若干下がったものの、ほぼ希望通りの額をもらえることになりました。

退職については夫にも上司にも引き止められましたが、「必ず大きな会社になる」と啖呵を切りました。
半年がかりで引き継ぎを終えた私は、そこそこ大手の企業を退職し、当時は社長と副社長、事務の女性の3人しかいなかったベンチャーに転職しました。

2年目から雲行きが怪しくなる

最初の1年間、メンバーが4人だけだったころは、楽しくお仕事できました。
少しずつ会社の認知度も上がり、やりがいを感じていました。
転職してよかったと感じていました。

暗雲が立ち込め出したのは、2年目です。

原因は3つあります。

1.社長と副社長が数年がかりで口説き落とした人物(A氏)が入社。
  そして私と業務範囲が丸かぶり、かつ経験者だった。

2.社長の友人のライター(B氏)が参画し、ますます私の居場所がなくなった。
  ほかにも社長の友人たちが事業に参画するようになり、入りづらい雰囲気になった。

3.社員が増えて会社の事業内容が大きく転換し、が魅力を感じていた事業から撤退。
  あまり魅力を感じない事業に力を入れるようになった。
  採用時には提示されなかった苦手な業務を担当することになり、ミスが目立つように。

A氏は広告代理店出身です。
おそらく私を採用した時点では、A氏を雇える可能性が低かったのでしょう。
そうでなければ私を正社員で雇うなんてしなかったはず。
それくらい、業務内容がかぶっていました。

B氏は出版社に勤め、商業誌での執筆経験があるライターでした。
大手企業のWebメディアを担当していましたが、そのメディアがなくなることになり、そのタイミングで社長が声をかけたのです。
それまで私が書いていた文章は、ほとんどB氏が書くことになりました。

私は転職時に、「自分よりすごい人が入社して、自分の居場所がなくなる」という可能性をまったく考えていませんでした。

何十人も社員がいる企業であれば、それでも居場所を見つけられたかもしれません。
しかし、数名のベンチャーで、それは致命的でした。

私は微力ながら、文章を通じて会社の認知度アップに貢献したと自負しています。

それが、社長の友人たちを呼び寄せ、自分の首を絞める結果になってしまいました。

さらに私は、転職先が事業を転換する可能性をまったく考えていませんでした。

新たな事業で、あるプロジェクトを担当することになりました。

ただ、もともとプロジェクトのタスク管理や調整があまり得意ではなかった私は、ミスが目立つように。

一緒に仕事をしてから気づいたのですが、社長は「適材適所、その人にあった仕事を振る」ではなく、「苦手な仕事も努力と根性で乗り切れる。自分はそうしてきた。できないのは逃げ、甘え」というタイプでした。

社長がどんどん、私に興味を失っていくのがわかりました。

このベンチャーで「面接して採用された」のは私だけでした。
あとは全員が社長の友人もしくは引き抜き。
ちょっとおしゃれな言い方をすると「リファラル採用」です。
社長の思い入れが、私とほかのメンバーとは全然違うのです。

それまではほめられていた文章も、細かい言い回しを批判されるようになりました。

ちょうど同じタイミングで、同居していた義母の末期癌が発覚。
精神を病み、認知症を発症し、奇声を上げ、徘徊し、「お前のせいで癌になった。恨んでやる」と私に罵声を浴びせるようになりました。

当時の私は本当にボロボロでした。
前の会社にいれば、介護休暇を取得できたのにと後悔しました。

そのまま決算を迎え、副社長から言われたのが冒頭のセリフ。
要約すると「お前に無駄金を払いたくない」です。

社長からすれば、自分が立てた売り上げで、気の合う友人たちと楽しく会社をやりたいのに、そのお金の一部が私に流れるのが我慢ならなかったのでしょう。
ただ、私を正社員で雇ってしまったから、むやみに解雇できないのです。

せめて、副社長ではなく、社長の口から直接聞いたのであれば「もう少しがんばろう」と思えたかもしれません。

ちょうど同じタイミング義母が他界し、私は転職活動をはじめました。
しかし職歴を重ね、さらにベンチャーの勤務期間が短かったことから、正社員の求人にはことごとく落ちました。

結局、派遣社員をしつつ、副業でライターをすることになりました。

最後の出勤日、社長から「うちの会社の黎明期を支えてくれてありがとう」と言われました。

言い換えれば、私は黎明期でしか必要のない人材だったのです。

退職後、私はクラウドソーシングに力を入れ、数ヶ月でプロクラウドワーカーになれました。

ただ、そのベンチャーからの仕事の依頼は、一切ありません。

こうしておけばよかった、と思うこと。

私はベンチャーに対し、「自由に好きなことをできる」というイメージを抱いていました。
書くということに集中できると思っていました。

しかし、「隣の芝生は青い」だけなのかもしれませんが……。
振り返ってみると、大きな企業の方が好きなことをやりやすいように思います。

ベンチャーは、人数が少ないので、一人がやらなければいけない作業範囲が広いです。
少なくとも私の場合は、ライティングに関すること以外の仕事も多く、あまり書くことには集中できませんでした。

もう少し「今いる会社で自分のやりたいことに近いことはできないか」を問いかければよかったと思います。

また、会社や社長のことを好きになれなくなってからは、本当に書くこと自体が辛かったです。
もし入社するなら、本当にその会社を心底好きになれるかどうか、自分にしっかり問いかけた方がよいです。

ただ、私はこのベンチャーでの仕事がきっかけで、目標となるような尊敬できるライターの方に出会いました。
(残念ながら、B氏ではありません。B氏の都合がつかずピンチのときに、ベンチャー広報の知人から紹介いただき、執筆していただきました)

そこから新たなコミュニティ、ライターさんたちとの出会いもありました。

ですので、悪いことばかりでもなかったかな、と思っています。

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